ストライクエニイホエア -Side B-
ギターと秋の空 
2009.10.16 Fri 22:50


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晴れ渡る秋空の下、公園の広場で植え込みに座りギターを弾くおじいに出会う。

くわえタバコをして、前を見据えつつ、ボロボロと鳴らすギターの音色は昭和エレジー。

ベース音は一音だけで、どうにも上手いには程遠い演奏だけど

それでもなんだかギターを弾く姿が味があって、僕はおじいに写真を撮らせてくれと話しかける。

おじいは照れたように笑い、前にも撮られたことあるんだよと話す。

いつも通りに弾いてるとこ撮らせて下さいと、しいては一曲お願いしますと頼んでみると

ギターの裏側に曲目が50曲くらいのワープロで書かれた紙が貼り付けてあるのを僕に見せる。

ほとんど僕の知らない曲ばかり。青い山脈は知ってるなあ。

じゃあ青い山脈をとお願いすると、微妙で危なっかしいメロディがギターから流れてくる。

簡単なコード進行と途中で入るオカズの音。

そしてギターの弦をかき鳴らす彼の右手の中指と薬指が第一関節から欠けているのに気づく。

親指と人差し指だけでアルペジオ。

道理でずいぶんと音が少ないんだ。

あやふやで綱渡りのようなメロディは秋風に乗り、金木犀の香りとともに空に舞う。

おじいはたばこをくわえたまんま唇をぎゅっと一文字にしつつ、前を向いたままギターを弾く。

僕はようやく青い山脈の歌詞を思い出し、口ごもるように小さく歌う。

若く明るい歌声に 雪崩も消える 花も咲く 青い山脈 雪割桜 空の果て 今日も我らの夢を呼ぶ

ファインダー越しに見るおじいをぱしゃんとフィルムに写し撮る。

ぱしゃんぱしゃんと何枚か撮り、

ファインダーから目を外して自分の目でじかにおじいを見る。

今日はもうカメラはいいや。このおじいを自分の目で見ていたいなあ。

ギターはへたっぴだけど、秋空にぴったりなんだ。

何にだって上手い下手はあるけれど、心を打つのはいつだって上手いものばかりではないのだな。

物事に対する真摯な気持ちやその人独自のなにかが伝わればそれでよいのかもしれない。

上手にまとめようとこじんまりとしたり、様子を伺ったり、歩調をあわせたりするのは、

悪いことではないけれど、なんだか世知辛くって伝わりにくいものなんだな。

難しいこと考えず、自分のペースをしっかり作って、ホントの自分を堂々とさらりと出すのが秋の空に似合うのだなあ。


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2009.10.16 23:35 | URL | みかん | 編集
2009.10.16 23:35 | URL | tah-woo | 編集
2009.10.17 22:19 | URL | しん | 編集
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Author: 長谷川シン  
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