ストライクエニイホエア -Side B-
life goes on フーちゃん 
2013.09.24 Tue 21:12




例えば病気で闘病中であり、それが難病で助かる見込みが少ないと、

看病する側はそれでもなんとかしたいと思うのだけれども、

心の片隅に死期を覚悟してしまう。

大切な人の死を受け入れる準備をして見送る覚悟を決め、

少しでもショックを和らげ、送り出す強い気持ちを生み出そうとする。

出来る事なら逝かないでと望みながら。

先週、いつものスナックで常連客のふーちゃんは

いつも通りにカウンターの止まり木に座り、携帯を引っ張り出して充電をしつつ飲んで、

鼻声で少し高い声であんまり上手くないカラオケでいきものがかりを歌っていた。

彼の写真を撮りたかったけど、僕はいいよといつも撮らせてくれなくて、

それでもたわいもない話をして、お先におやすみなさいと僕は店を出た。

それがフーちゃんと最後に会った日になってしまった。

翌週、仕事の移動でタクシーに乗ったフーちゃんは

そこで心臓発作を起こしそのまま帰らぬ人となった。

彼が亡くなったと連絡を受けた時、何かの冗談かと思ってしまうくらいに

受け入れる事が出来なくて、確かにフーちゃんは心臓に疾患があって

薬を常用してたけど、それでもこないだ一緒に飲んだじゃんね。

まさかね。ウソでしょ。まだ53歳。

急すぎる死は胸を抉り取るほどの衝撃で僕に襲い掛かり、

ガツンと殴られたように頭の中に響き、視界は真っ白になる。

人はいつかは死ぬのはわかっているけど、

いつ死ぬかなんてのは誰にもわからない。

だからいつも死の覚悟をしておけなんて出来やしない。

ただただフーちゃんの早過ぎる死を悼み、秋の青い空を眺める事しか出来ない。

まだ信じられないよ。

誰かが言っていたのをふと思い出す。

人は死ぬために、死に向かって生きて行くんだよ。

彼が二度と来る事のないスナックに行き、

彼がいつも座っていた止まり木を眺めて僕はまた酒を飲む。













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Author: 長谷川シン  
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