ストライクエニイホエア -Side B-
「ごめんね」と「ありがとう」 
2012.04.10 Tue 21:52
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撮り続けている病院での写真。

時々、撮る事が苦しくなる事がある。

それは僕が撮った人が逝ってしまった時。

風で桜がヒラヒラと舞い散る夜に、

ある人を思い出す。

気高く、強く、そして弱く、儚く、美しく、

礼儀に厚く、年季の入った堂々とした表情と物腰。

病魔に冒され、思うように身体が動かないその人に

声を掛けると、咳込みながら

ありがとうとごめんねを何度も言う。

川崎さんって僕の名前をずっと呼び間違えて

ようやく僕の名前をしっかり覚えてくれて

いつかパジャマじゃなく、ちゃんと化粧して、イカした服着た時に写真を撮って頂戴と

唇の右端をきゅっと上げて言った人。

逝ってしまう数日前に、苦しそうにしていたその人の

差し出した手を両手で握り締めた。

その手の小ささと温もりは

今でも僕のこの手に感じられる。

桜の花びらが舞う夜に

「ごめんね、ありがとね。あなたは一生懸命に生きなさい」

そんな声が聞こえた。

僕は一生懸命に生きていきますよ。

でも今は哀しくて、切なくて、歩き出す事も出来ないほどで、

風に舞う桜の花びらをただ見つめている。

ありがとう、ありがとう、ありがとう、そしてさようなら。










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Author: 長谷川シン  
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